みなさん、こんにちは。
久々のブログ記事更新です。
今回は3期の放送直前ということで、2期9話を中心にラブライブ!スーパースター!!におけるLiella!の歩みについて掘り下げようという内容です。
現在、公式でも坂倉花さんによる各話の解説動画が更新されていますので、そちらもあわせて見てもらえればと思います。(9/22時点では2期7話まで更新済み)
(とりあえず2期9話に関しては後出しジャンケンにならなくてよかった)
今まで個人的に同作品について語った記事はこちらから↓
ラブライブ!スーパースター‼︎2期を自分なりに噛み砕いていく〜自分にしかできない見方を〜 - よしのきららのブログ
Liella!メンバーについてじっくり考えたい「澁谷かのん・唐可可」編 - よしのきららのブログ
Liella!メンバーについてじっくり考えたい「平安名すみれ・嵐千砂都・葉月恋」編 - よしのきららのブログ
Liella!メンバーについてじっくり考えたい「桜小路きな子・米女メイ・若菜四季・鬼塚夏美」編 - よしのきららのブログ
目次のようなもの
- なぜ2期9話に焦点を当てるのか
- Liella!が置かれていた状況
- マルガレーテの登場とLiella!の立場
- 2年生の現状認識と対応
- 平安名すみれが起こした行動の意味と価値
- 引き出された1年生の覚悟
なぜ2期9話に焦点を当てるのか
さて、今回は記事のタイトルにもある通り2期9話を中心に掘り下げていくわけですが、そもそもなぜこのエピソードなのかということについてまずは話していきたいと思います。
最初にラブライブ!スーパースター!!がどういう話なのかというところからになりますが、これは今まで散々ブログやX(Twitter)でも語ってきた通り、1期でSunny Passionに敗れたことで「負けることの意味」を知ったLiella!*1が、「勝ちたい」というのと「(スクールアイドル活動を)楽しもう」という2つの気持ちを抱えながら前に進んでいくというものです。
この2つというのは、「勝ちたい」という気持ちを最優先にするのであれば「楽しむ」というスタンスをどこかに置かなければならない場面があり、一方で「楽しもう」という気持ちを最優先にするのであれば「勝ちに行く」というスタンスには傾倒しきれないというように、100%の両立が難しいものであると言わざるを得ません。そのため、「どちらをどの程度まで優先すべきか」のような問題がLiella!には常について回ることになります。これは別に「どちらの方がより大事か」ということの結論を出そうとしているわけではなく、あくまでLiella!の活動目標として「自分たちがどうしたいのか」を考え続けていくわけです。
こうしたところから、ラブライブ!スーパースター!!という作品(特に2期)を通して見た時にはLiella!の「迷い」のようなものが1つのテーマになっているということができ、それこそが今回2期9話を中心に見て行こうとする理由になってきます。つまり2期9話というのはこの「迷い」が大きく物語を動かす回であり、作品全体のテーマに対して正面から描かれる非常に重要なエピソードとなっています。
Liella!が置かれていた状況
この2期9話を迎えるにあたって、Liella!がどういう状況にあったのかということについて整理していきたいと思います。"クーカー"から活動が始まり2年目を迎えていたLiella!は、1年生4人を新たに加え、目標であるラブライブ優勝に向かってまずは最初の地区予選*2を突破していきます。ここまでにLiella!は「1年生を迎え入れる(2期1話)」「優勝を目標に日々の練習に取り組む(2期2話)」「1年生の成長したいという気持ちを尊重し別行動を許可(2期5話)」といった感じで基本的な方向性を決めており、それに基づいて活動している様子が一貫して描かれてきました。
前述した通り、Sunny Passionに敗れたことでLiella!としての目標が「勝つこと」としてはっきりと定まってくるわけですが、この目標はSunny Passionに敗れる経験をしていない1年生にも十分浸透していたと言えます。例えば2話できな子が「きな子も、やっぱりLiella!さんたちと優勝目指して頑張りたい」と発言していたり、6話でメイが「Liella!の力になれないならスクールアイドルやるつもりはない」と発言していたりするところからもわかるように、「勝ちたい」「そのためにレベルアップしたい」という思いは1年生も同じであるということです。つまり、少なくともこの時点*3で9人が優勝という目標に関してはしっかり見据えることができていたという点をまずは押さえておく必要があります。
一方でひとことに「優勝が目標」といっても、なぜ優勝したいのかであったり、優勝という結果に対してどこまで強くこだわっているのかといった部分に関してはなかなかすぐに結論が出るものでもありません。よくスポーツなどでも「勝てれば何でも良いのか」というような言われ方をすることがありますが、同じようにとにかく結果だけにこだわるのか、結果を出す過程も重視するのかというテーマはラブライブ!においても例外ではありません。自分はサッカーを見るのが好きなのでサッカーに例えた話をしますが、例えばロングボールやロングスローを多用し、時には時間稼ぎなどもしながら結果を出すことに徹底的にこだわるのか、あるいはしっかりとパスを繋ぎ、相手を上回る技量を見せながら「美しく勝つ」ということを目標とするのかについてはどちらが良い、好きなどさまざまな意見が存在します。結局、Liella!が2期8話までの時点で方針を決めているといっても、それは言ってしまえば「勝ちを目指す」という大方針を決めていただけにすぎなかったということです。
マルガレーテの登場とLiella!の立場
ここからいよいよ今回の本題である2期9話の内容に入っていきたいと思います。ラブライブ!の最初の地区予選を無事に突破したLiella!でしたが、そこに衝撃的なニュースが入ってきます。それは2年生にとっては前年度に苦杯を喫した相手であり、それ以降「乗り越えるべきライバル」としてずっと見据えてきたSunny Passionが地区予選でまさかの敗退という結果に終わったというものです。さすがに動揺を隠しきれないLiella!でしたが、そのSunny Passionが負けたというのが自分たちも3話の代々木スクールアイドルフェスで辛酸を舐めた相手であるウィーン・マルガレーテであることがわかります*4。Liella!からすればずっと目標としていたライバルの敗北は衝撃的であったと同時に、「そのライバルを倒した相手」でなおかつ「自分たちも一度敗れた相手」に勝負を挑まなくてはいけないという状況に立たされた*5ということになります。
このように今までと状況が変わってしまったことに対して、メンバーの間でも危機感が広がっていきます。まず、問題提起をしたのは部長の千砂都でした。ラブライブ!地区予選で披露した『Chance Day, Chance Way!』の映像を2年生に見せ、「まだ(2年生と1年生との間で)かなり実力差がある」ということを指摘します。そして、その直後の会話でこのことは2年生全体の共通認識であることも判明します*6。さらに千砂都は「このままだと決勝進出は難しい」という旨の発言もしており*7、ここで今までも優勝を目指して取り組んできたものの、相手のレベルが想定以上であったことから、何かを変えない限りLiella!が勝つことは難しいということが視聴者にもわかるようにはっきりと示されます。
誤解を恐れずに言えば、ここの部分は視聴者の目線で「苦味」を感じるポイントだったとも思います。物語としては2話や6話で描かれたことが「正解」とされるような形で、そのままサニパを倒す展開というのが一番美しくてカタルシスを感じやすかったのではないかと考えられます。しかし、前述したように「勝ちたい」という思いにもいろんな種類があり、それらは簡単にまとめられてしまうものではありません。2話や6話の展開は個人的にも好きではありますが、あれだけが優勝という目標や実力差という課題に対する「最適解」として描かれてしまうのであれば、個人的にラブライブ!スーパースター!!はなんだか物足りないアニメになっていたように感じます。しかし、そうはなっていません。それこそが2期9話で描かれたことの価値であり、この記事を書いた理由でもあります。
2年生の現状認識と対応
マルガレーテの登場によって、どうやらこのままではラブライブ決勝進出は難しそうというのがわかったところまで来ました。そこですみれが部長の千砂都に対して「1年生に猛特訓をさせるべきか」という旨の確認をとります。ようするに、現状から何かを変えなければ結果を出せなさそうなので、「1年生の猛特訓」という変化をつけてラブライブに挑めばいいんじゃないかという話になるわけです。しかし、ここで口を開いたのが可可でした。「話さなくていいと思います。1年生は頑張ってます。今話したらきっと、頑張りすぎてしまう気がします」というセリフから分かるように、可可のスタンスとしては「無理をして頑張って、歌うのが辛くなるくらいなら結果を意識しすぎない方がよい」といった感じで、あくまで「みんなで楽しく歌うこと」がもっとも大事であるということです。
この可可のスタンスは、Sunny Passionに負けたあとのLiella!が大切にしてきた姿勢のうちの「スクールアイドル活動を楽しもう」という方に該当しており、実際にかのんがいち早く「私も賛成」と同じ考え方であることを伝えています。また、その直後に千砂都が練習メニューの見直しについて言及していますが、これもそこまでの流れを考えればすみれが言ったような「猛特訓」を1年生にさせるのではなく、どちらかというと1年生が頑張りすぎない範囲での調整であることが伺えます*8。2話と違い、ラブライブに優勝するという目標自体を取り下げたわけではなかったと思いますが、マルガレーテのことを意識しすぎないくらいのスタンスではあったと考えられます。
おそらく、この時の2年生は、マルガレーテに勝つには多少無理をしなくてはいけないという認識を持っており、この時の論点は「多少無理をしてでもラブライブ優勝を目指すべきなのか」ということだったと思います。しかし、先述してきたようにLiella!にとっては「ラブライブ!で優勝すること」だけが目標なのではなく、「スクールアイドル活動をしっかりと楽しむこと」も大切にするべき姿勢であると考えており、少なくとも後者を犠牲にして前者を取りに行くようなことはしないというのがこの時出された結論だったというわけです。
平安名すみれが起こした行動の意味と価値
このように、ラブライブ!優勝についてはLiella!にとって他の大切なことを犠牲にしてまで目指すようなことではないというのを改めて確認する形になったここまでの展開でしたが、一人だけ違う考えを持った人物がいました。それがすみれです。彼女は唯一可可の事情*9を把握しており、それゆえに今回のラブライブ!を「絶対に負けてはいけないもの」として認識していました。そこで、すみれはまず2年生だけでの話し合いの後に可可個人のもとへ行き*10、「(可可は本当にそれで)いいの?」と尋ねることにします。おそらくこの時すみれは、可可が1年生に気を使って「無理をさせたくない」と話しており、可可自身は帰国させられなくないので本当は絶対に勝ちたいはずだと思ってると考えての行動だったのでしょう。しかし、すみれのそういうところを嫌ってる*11可可には「すみれには関係ない」と一蹴されてしまいます。
こうなってしまうとラブライブ!にどうしても勝たなくてはいけないと考えるすみれにとって、できることの選択肢はかなり限られてくると言わざるを得ません。そして彼女は行動に移ります。1年生に猛特訓させるという選択肢は無くなった、それでもラブライブ!には絶対に勝ちたい、そう考えたすみれは「(レベルの高い)2年生だけでステージに立つ」という提案をしたわけです。その後のかのんの反応を見てもわかる通り、これは今までのLiella!の歩みや大切にしてきたことを考えてもあり得ない選択肢です。すみれの提案はまさしく「結果」だけしか考えておらず、ここまで散々述べてきたようにLiella!は別にラブライブ!での結果だけを目標に活動したわけではないので、すみれのこの時の提案は「とんでもないもの」だということに異論を挟める余地はありません。
しかし、一方でその後のかのんとのやりとりがわかりやすいですが、かのん「そんなにあの子(マルガレーテ)が怖いの?」すみれ「当たり前でしょ」かのん「だからって必ず負けると決まったわけじゃないでしょ」とあるように、ここまでの話の流れでLiella!が結果を必要以上に意識することなく(むしろ負けるのは仕方ないとも取れるような姿勢で)東京予選に挑もうとしていたのは明白であり、本当にそのまま行って後悔がなかったのかについてはしっかりと考えるべきポイントであると言えます。可可に関しては「ここで負けて帰国することになっていたらそれは仕方ない」くらいの覚悟を決めていたかもしれませんが、他のメンバーは本当にその結果を受け入れられたのか、可可の事情をすみれ以外は知らなかったというのを考えるとなおさらそのことには疑問符がつきます。少なくともすみれの行動には、この点について考えるためのきっかけとしての価値はあったと言えます。
しかしやはりすみれ側の提案や言い方にも問題はあります。この後「私はね、ショウビジネスの世界に返り咲きたいの」と言って悪者になりきり、かのんのビンタ直前まで行ったことに関しては個人的にもすみれが良くなかったと思いますし、場合によってはLiella!崩壊もあり得るような危険な綱渡りだったと感じます。ようするに、この時点での自分なりの感想としてはすみれが早く本当の想いを伝えるべきとなりましたし、そうしなければLiella!にとって結果も過程も良いものにはならなかっただろうという解釈です。
引き出された1年生の覚悟
話の対象を少し移します。
すみれが1年生を外すという提案をした時の1年生本人たちの反応はどちらかというと「やっぱりそうですよね」といった感じで、ある程度そう言われるのを予想できていたように見えました。元々、1年生には2年生との差を気にするような描写が多く、それこそ6話の1年生による北海道合宿も自分たちの発案であり、「実力差をなんとかしたい」という気持ちはずっと見せ続けます。しかしそれでも、実力差が埋まらずにすみれの提案を受けたことに対して、どこか申し訳なさそうにしているのが印象的でした。おそらく、これに関しては2年生からすると若干予想外だった気がしていて、そのくらい1年生は1年生で結果を出すことに対して強い気持ちがあったのだと思います。
それが決定的になったのがすみれの家の神社でのシーンです。その前のところでメイが「それでいいのかな。(中略)本当はすみれ先輩と同じくらい勝ちたいって」と発言しており、すみれのところへ行ってからは4人で「次のステージには立たない。東京大会は2年生5人で私たちに勝つところを見せてほしい」と自分たちの思いを伝えました。1年生は元々2年生が考えていた以上に勝利という結果の部分に真剣であり、そのことをすみれをはじめとした2年生が知ることになったという点でもここは重要なシーンだったといえます。逆にすみれからすれば、そんな1年生の思いと覚悟を知ってしまえばとても「1年生を外すべき」なんてことを言い続けられなくなり、どうしようもなくなってその後の可可とのやりとりに繋がってくるわけですが。
結果的に、すみれは「(可可と)3年間一緒にスクールアイドルやりきりたいの」と正しく自分の想いを伝えたことで、Liella!9人が勝利という結果に向けて再びまとまるきっかけを作り、千砂都が改めてマルガレーテに勝つための練習メニューを作成したところで9話はエンディングに入ります。まとめると2期のここまでのLiella!は
・「優勝したい」「スクールアイドル活動をしっかりと楽しみ、根付かせたい」という2つの想いをベースに活動
↓
・改めて優勝を目指して頑張っていくことを決意(2話)
↓
・2年生と1年生の実力差にもしっかりと向き合うことを確認(5〜6話)
↓
・ラブライブへマルガレーテ登場。優勝のハードルの高さを思い知り、無理しすぎない方向でまとまりかける(9話前半)
↓
・すみれの絶対に負けなくないという想いと1年生の覚悟が確認でき、打倒マルガレーテの決意を新たにする(9話後半)
このような変遷を辿ってると言えます。
すみれが行動を起こさなければ9話前半時点がLiella!としての最終的なスタンスとなり、その場合おそらくマルガレーテには勝てなかったんじゃないかと思います。可可はもしかしたらそれでも良いと割り切っていたかもしれませんが、最初に「優勝を目指す」と決めた以上、そして可可が負けた場合には帰国させられることになっていただろうというのを考えると、かのんを始めとするLiella!のメンバーは本当に悔いを残さなかったのか、「あそこで1年生に猛特訓させるべきだったんじゃないか」とならなかったのかについて、少なくとも「ノー」と断言できる状態ではなかったはずです。これらは結局Liella!として「勝ちを目指すこと」にどのくらいの重きを置くべきかという部分で迷いが残っていたことの表れということになりますが、その迷いがすみれを動かし、1年生を動かし、そしてLiella!を動かしたという点で2期9話は意味も価値もしっかりあるエピソードであったと主張しておきます。
そして、2期10話のラブライブ!東京大会で対マルガレーテに披露されたのが「Sing!Shine!Smile!」です。この楽曲では、Liella!の9人がステージ上に横一列で並びながらパフォーマンスするという構成になっており、それゆえに振り付けのキレにバラつきがあると全体としての見栄えも良くなくなってしまうのですが、そこが綺麗に揃っていることでLiella!のスタンスとここまでの歩みを示してくれたのも9話からの流れとして非常に大きかったと思っています。
というわけで、ここまで2期9話を中心にLiella!の歩み、あり方の変遷を辿ってきました。いよいよ来月には3期の放送も始まりますが、2期ではLiella!の前に立ちはだかる敵であったマルガレーテや、夏美の妹の冬毬が加入することで、Liella!にどのような変化が生じてくるのか、とても楽しみにしながら6日の初回放送を待ちたいと思います。
*1:ここでは1期生の5人を指す
*2:2期8話で描かれた『Chance Day, Chance Way!』のステージ
*3:夏美加入後
*4:ここでサニパが負けたと言ったのがどういう状況かは不明。仮にマルガレーテだけがサニパを順位的に上回ったのだとすればレギュレーション的にサニパも突破はできそうなので、おそらく直後に圧倒的なパフォーマンスをされたことで自分たちの印象が霞んでしまったようなイメージかと思われる
*5:元々マルガレーテは中学生として出てきており、Liella!としてはラブライブでの対戦を想定していなかった可能性もある
*6:かのんは「1年生は頑張っている」とフォローするような発言をしたものの、そこでも実力差自体については否定しなかった
*7:厳密には可可に「決勝進出は難しいか」と問われたことに「多分(難しい)」と返答するような形
*8:具体的にどのような調整を行うかは作中で言及されていないが、かのんが千砂都と可可に練習メニューの調整を依頼していることから、1年生が頑張りすぎてしまうのを嫌がっている可可の意向が反映されたであろうことは容易に推察できる
*9:今回のラブライブ!で結果を残さなければ上海に帰国させられる
*10:正確には帰宅中に着いて行った
*11:これはすみれという人物そのものが嫌いなのではなく、すみれの中でこういう部分が嫌だというニュアンス