Liella!メンバーについてじっくり考えたい「澁谷かのん・唐可可」編

みなさん、こんにちは。

Liella!3rdライブツアーもいよいよ残すところ3/4,5に行われる埼玉・ベルーナドームでの千秋楽公演のみとなりました。ベルーナドーム公演はLiella!単独ライブとしては初の「声出しあり」でのライブということで*1、現地参加するのが非常に楽しみです。

3rdライブツアーは、純粋な「ライブとしての楽しさ・満足度」においても1stや2ndの頃からパワーアップしたLiella!を感じることができ、公演に参加するごとに「来てよかったな」「楽しかったな」という気持ちになれる素晴らしいツアーです。そんな3rdライブツアーですが、ベースとなるのはやはり『ラブライブ!スーパースター!!TVアニメ2期』で紡がれた物語ということになります。本作に関しては以前ブログでも個人的な感想文を載せたのですが、( ラブライブ!スーパースター‼︎2期を自分なりに噛み砕いていく〜自分にしかできない見方を〜 - よしのきららのブログ )今回はライブを通じてさらに解像度の上がった個々のメンバーについてピックアップしていきながら、同作品(とラブライブ!スーパースター!!というコンテンツ全体)を振り返っていきたいと思います。ここで各CPに関する自分のスタンスなんかも伝えていければ(笑)。

大分長くなるので数回に分けてアップしていきたいと思います。まず第1弾としては澁谷かのん・唐可可編です。

 

目次のようなもの

・澁谷かのん〜「才能」「挫折」にフォーカスした人物像〜

・唐可可〜可可にとってのLiella!〜

↑↑↑今回はここまで

 

・平安名すみれ〜"グソクムシ"が主役に変わるまでの軌跡〜

・嵐千砂都〜対人関係の独特なバランス感覚〜

・葉月恋〜信念を曲げない強さと純粋さ〜

・桜小路きな子〜Liella!にきな子がいることの意味〜

・米女メイ〜"ファン"だったからこそのスタンス〜

・若菜四季〜四季の秘めたるポテンシャル〜

・鬼塚夏美〜人間としての夏美の強さ〜

 

 

  • 澁谷かのん〜「才能」「挫折」にフォーカスした人物像

まずはラブライブ!スーパースター!!の主人公である澁谷かのん。彼女についてまず言えるのは、一貫して「才能のある人物」として描かれているということです。中学時代には屋上の1人で歌っているかのんの周りにギャラリーが集まっている様子が描かれたり、幼年期の頃から歌で周りに期待されていることが窺えたり、かのんの歌声を一瞬だけ聴いた可可が「スバラシイコエノヒト」と言ってスクールアイドルに勧誘するのを決めたりと、澁谷かのんの「歌」に関しては物語開始の時点で非常に魅力的なものとして描かれていました

一方でかのん自身は過去に歌を歌えなくなった経験によって、今でも歌を歌おうとすると声が出なくなるという一瞬の「トラウマ」が発動している状態でした。その「トラウマ」によって結女の音楽科の試験にも落ちており、結果的に普通科で合格して学校には入学するものの、目標ややりたいことを見失った人物として登場するのが1期1話での澁谷かのんです。つまりかのんは一瞬で聴いた人間を魅了できるような素晴らしい歌の才能を持ちながら、過去のトラウマが原因で音楽科の試験に落ちるという挫折を味わっており、この「才能」と「挫折」が鍵となって澁谷かのんに関する描写は展開されていきます

その中で先にも述べた通り唐可可と、嵐千砂都に関してはかのんの「才能」に突き動かされる形でそれぞれの行動を起こしていきます。可可にとっては上海から日本に来て何の後ろ盾もない状態からスクールアイドルを始めようと考えていた時に、文字通り"運命的な出会い"をかのんと果たします。可可から見た時に澁谷かのんという存在はまさに「求めていた人材」そのものであり、この出会いこそがラブライブ!スーパースター!!の物語における全ての出発点となっているわけです。

ようするに(この後の可可の項目でも詳述しますが)、かのんと可可は「出会ったこと」そのものに強力な意味があり、お互いがお互いにとっての「起点」として非常に重要な地位を占めていると言えます。ここでもう1つ、澁谷かのんに関して無視できないポイントとしてあげられるのが「正義感の強さ」です。かのん目線で不当にスクールアイドルの活動を制限しようとしているように見える葉月恋に食ってかかる描写もそうですし、1期から2期までを通して「誰1人として取りこぼさない」という利他心を常に発揮しているところからも、彼女の正義感の強さがわかります。この「才能+正義感に溢れた人格」によって、澁谷かのんは可可、千砂都を始めとする多くの人から慕われていくわけです。

そんなかのんですが、可可に誘われてスクールアイドルを始めてみたのはいいものの、過去のトラウマで歌えないという部分は変わっておらず、可可の前で「弱さ」を見せてきます。可可からして見れば日本に後ろ盾なくやって来た自分にとって「救世主」で「憧れ」の「スバラシイコエノヒト」である澁谷かのんが「自分と同じ1人の高校1年生」として対等な立場に置かれた瞬間であり、自分がかのんと一緒にやりたいのは決してかのんに才能があるからということではなくて、「澁谷かのんの歌」そのものに惹かれたからだとはっきり伝えられるきっかけにもなりました。一方でかのんにとっても、「歌を歌えない自分」でも決して見捨てずに隣にいようとしてくれた可可の思いに触れたことで、「誰かと一緒なら人前でももう一度歌うことができる」という気づきを得ることになります。2人の「出会い」がきっかけとして動き出したストーリーがそれぞれの「想い」を新たにする事でステージ上のパフォーマンスとして成就するというのが1期3話での「クーカー」による『Tiny Stars』の本質であり、特にかのんにとっては再び「歌を歌う」ことへの道を進み始めたきっかけとして極めて重要な意味を持つエピソードだと感じます。

一方でかのんの「挫折」をしたという経験の部分にある意味救われたような形になったのが平安名すみれ、桜小路きな子、鬼塚夏美、そして現時点ではLiella!のメンバーではないもののウィーン・マルガレーテもそのうちの1人に数えることができそうです。この部分はかのんの発する「言葉」の部分に表れています。例えばすみれを3人目のスクールアイドルとして「スカウト」した時の「奪いに来てよ」というセリフは、自分自身の歌を歌えない状態から可可との出会い、関係をきっかけにして再び歌えるようになった経験を経て「もうダメだと挫けそうになっても諦めなければいつかできる日が来る」ということを心から信じるかのんだからこそ「中身のある言葉」として発せられたのだと捉えられます。夏美の勧誘の時にはさらにわかりやすく「私も挫折をしてきた」「音楽科に入る夢を失敗した」ことを語っており、その上で「でもみんなと一緒なら夢を追いかけることができる」と自身のこれまでを振り返りつつ夏美の「何をやってもできない」と感じていた心を動かすことに成功しています。

かのんは先に述べたように歌に関する圧倒的な才能を持ち、人格的にも正義感が強く人望を集めている人物でありながら、同時に挫折経験によって「何者にもなれない」という人にも寄り添える存在としても描かれており、この2つの側面(「才能」と「挫折」)があるからこそラブライブ!スーパースター!!の物語の主人公たり得ているわけです。

 

  • 唐可可〜可可にとってのLiella!〜

続いて単身上海から日本に渡ってきており、Liella!の発起人でもある唐可可。可可にとっての物語が動き出したのは上海で「Sunny Passion」のライブ映像を見かけた時からです。おそらくサニパの活動期間等を考えても日本で言う中学3年の冬あたりの出来事だったと思いますが、そこからわずか数ヶ月後の高校入学時点では日本に移ってきています。つまり彼女は(細かいバックグラウンド次第では違うところも出てくるかもしれませんが)高校入学までの数ヶ月間で

・日常で使えるレベルの日本語の習得

・日本で通う高校の選定、受験、入学の諸手続き

・スクールアイドルに関する知識の習得(大会の存在や時期等の把握)

・スクールアイドル活動に必要な服飾、舞台設営等の技能習得

・スクールアイドルとして披露する楽曲の作詞

といったものを既に行っており、彼女の好きな言葉でもある「思い立ったが吉日」をまさしく体現したような行動力を見せつけてきています。

しかし、やはりわずか数ヶ月の間ですので「一緒にスクールアイドル活動をしていく仲間」の"当て"まではつけられていなかったところに、突如として現れたのが「スバラシイコエノヒト」こと澁谷かのんだったわけです。さきほどかのんの項でも述べましたが、この可可とかのんの出会いこそがラブライブ!スーパースター!!の物語が動き出すきっかけであり、可可自身にとっても後ろ盾のない日本という土地でスクールアイドルを始めるための足がかりとして澁谷かのんの存在はこの上なく大きかったと言えます。

可可にとっては前述した通りSunny Passionのライブ映像を見たことがスクールアイドルを始めようと思ったきっかけになるわけですが、かのんの歌声を聴いて「この人(かのん)と一緒にスクールアイドルをしたい」というイメージが明確になり、そこから本格的にスクールアイドルとしての行動を開始するという流れになっています。スーパースターではなく虹ヶ咲の方のセリフにはなってしまいますが「やりたいと思った時から、きっともう始まってるんだと思う」とあるように、可可にとっては「かのんとスクールアイドルをしたい」と思ったことがスタート地点であり、スクールアイドルとしての始まりだったと言えるわけです。そして1期3話では「クーカー」として『Tiny Stars』を披露するわけですが、この時点で可可の「かのんと一緒にスクールアイドルをしたい」という夢は叶うことになります。つまり、可可にとってのかのんは「日本に来て夢に向かって進むためのきっかけをもたらしてくれた存在」であるのと同時に「日本に来て最初の一緒に夢を叶えた存在」でもあったということです。

この「最初」というポジションはその後に人間関係にどんな変化が生じたとしても絶対に変わらない部分であり、そのことこそが「クーカー」の本質なのだと個人的には感じます。「クーカー」がなければLiella!に関するすべてのことが成り立たなくなると言えるくらい、物語上できわめて重要な存在であり、それは1期、2期と物語が進んでいく中でも決して変わっていないということを改めて強調しておきます。

可可はその行動力の高さでかのんを誘いスクールアイドルとしての一歩を踏み出したわけですが、その可可にとって青天の霹靂とでもいうような出来事が発生します。それが平安名すみれの加入です。Sunny Passionのライブ映像を見たことでスクールアイドルと出会い、かのんとともに「クーカー」としてのステージを成功させた可可にとって、スクールアイドルというのは常に素晴らしいものであり、上海から日本にやって来て過ごす中でそのことはずっとブレずにあったんだと思います。最初は即戦力としてすみれを暖かく迎え入れますが、その後にすみれの加入の意図を聞いて、彼女がスクールアイドルを低く見積もっていることを知ると態度が一変します。可可にとってはわざわざ上海から日本に来てまで始めようとしたくらいその魅力に取り憑かれていて、さらには「クーカー」として素晴らしい経験もできた、そんなスクールアイドルを低く見積もり自分が目立つための道具として利用しようと考えていたすみれに対する印象が悪くなるのは当然といえば当然です。

それ以降、すみれに対しては辛辣な態度が目立つようになるのは周知の事実ですが、一方ですみれの能力に関してはちゃんと認めているというのが1期10話のエピソードでわかるわけです。可可自身、元々体力ゼロで運動がまったくできないという状態でスクールアイドルを始めようとしていたので、基礎的な体力や技術の備わっているすみれは「自分には持っていないものを持っている相手」だと言えます。当初「即戦力」だったすみれを歓迎していたことからもわかるように自身がスクールアイドルをやっていく上でそういった仲間の存在が必要なことはおそらく理解できており、何より自分自身にとってもスクールアイドルとして結果を残さないといけない都合があったことから、可可はすみれに「自分自身やLiella!の足りないピースを埋めて欲しい」と考えていたような気がします。これはかなり憶測が過ぎる部分もありますが、結局10話ですみれがセンターになることにこだわったのもその実力は認めていたことの証左ですし、可可にとってのすみれは少なくとも「Liella!に必要な存在」として認識しているだろうことは容易に想像できます。

そして、これは可可自身が決してダンスや体力といったスペックの面で恵まれているわけではないからこそな気もしますが、すみれの実力をLiella!(1期生)の中で一番高く評価しているのが可可で、これはすみれにとってはかなり大きかったということです。「モブとして使える都合のいい存在」ではなくちゃんと「平安名すみれ」として認めて欲しいという思いを持っていたすみれにとって、自分の能力をはっきりと認めてセンターが相応しいと言ってくれた可可の存在は間違いなく特別です(この辺りについてはすみれの項で詳述したい)。それで結果的に、1期の10話の『ノンフィクション!!』を経てから2期9話に至るまでは「可可を特別だと感じるすみれ」と「すみれに自身の帰国問題について気を使って欲しくない可可」との間ですれ違う状況が続くことになるわけですが、可可は何気なく(素直に)すみれの実力を認めたに過ぎないつもりでも、それがすみれにとっては特別な意味を持ってしまった+可可目線ですみれは唯一自身の帰国問題を把握している存在であるという状態ゆえに2期に入ってからもずっと可可のすみれへの態度は辛辣だったと見ることができます。

結局ここまで紐解いて来て見えてくるのは、可可は元々「スクールアイドルをやりたい」という思いから日本に来てLiella!を結成した*2わけですが、可可にとってのLiella!は「自分がスクールアイドル活動をするための手段」などでは決してなくて、「かのん・すみれ・千砂都・恋、2期ではさらにきな子・メイ・四季・夏美という仲間と一緒にスクールアイドルとしての日々を過ごせる場所」として大切なものになっていったということです。2期9話で1年生に実力差のことを伝えるかどうか2年生で話し合った際、「1年生が辛くなる」という理由で「話さない方がいい」と言っていたのも、可可にとっては自身の帰国問題以上に今自分がいるLiella!という「場所」が壊れてしまうのを恐れたからと考えれば、個人的にかなり納得のいく部分でもあります。

*1:単独ライブ以外では2/12に開催の超次元音楽祭Day2@ぴあアリーナMMにて声出しありでのライブに出演済み

*2:厳密にはLiella!の"前身"とも言うべきクーカーを結成し、Liella!として活動するための足がかりを作った