2018年 アニメ作品10選

前記事( 2018年 アニメソング10選 - yoshikira10の日記 )に引き続き、2018年の10選シリーズ第2弾、今回はアニメ作品についてです。前記事でも触れましたが、2018年に視聴したアニメ作品の数は約50本。その中で特に「良かった・好きだった」という作品10本について今回は紹介していきたいと思います。

 

神回を連発したアニメ。描写の積み重ねからワンシーンの爆発力へとつなげる「アニメの構成」の完成度が非常に高く、また1つ1つのセリフや描写もキャラクターの感情を目一杯視聴者にぶつけてくるような感覚を与えてくるものであり、今まで見たものの中でもトップクラスの「感情を揺さぶられる」アニメだったといえる。キマリの「何かをしたい」という感情、報瀬の母親に対する感情、結月の「友だちを作りたい」という感情…これらの感情が原動力となって「宇宙よりも遠い場所」である南極まで行ってしまう。感情というのは人間の誰しもが持っているものであるが、それこそが様々なことを成し遂げるための力になるというストーリーは、見ている人の心をも突き動かす。人がなぜフィクションを見ることを求めるのかという話だが、それは自分の心を満たす、あるいは動かしてくれるものを欲しているからである。そのように考えた時、この「よりもい」は「フィクションがもたらしてくれるもの」を最大限自分に与えてくれたと思える。だから「現実では~」みたいなツッコミは野暮ですよ。
 

 キャラクターもストーリーもこんなに好きになれたアニメはかなり久々なような気がする。とじみこは作品の中にあるテーマ性がすごくしっかりしていると思う。「孤独」と向き合ったり、そこから救われたり、あるいは自分の立ち位置について考えたりする。そうしたテーマの存在がストーリーを分厚くしていた。また、キャラクターにも深さがある。特に可奈美は、序盤の「何を考えているのかわからない」という不気味な印象から、終盤に向かうにつれてその器の大きさのようなものがどんどん見えるようになってきてとても惹かれていったのを覚えている。この点に関しては、本渡楓さんの魂のこもった演技があったことも大きい。沙耶香の成長が描かれていたのも個人的に嬉しかった。同じ天才枠の可奈美がチートスケールだったわけだが、その中でもしっかり自分のポジションを確立させられたのは本当に良かった。百合的なキャラクターの関係性も非常に魅力的だったところ。十条姫和は衛藤可奈美のあの器の大きさからくるどデカい感情の波をちゃんと受け止めきれているのかな…。これらストーリーの魅力、キャラクターの魅力、関係性の魅力ががっちり噛み合った結果生まれた最強のアニメが刀使ノ巫女だといえる。本当にありがとう刀使ノ巫女

 

 実は今回挙げる作品の中でもっとも隙のないアニメがこみっくがーるずなのかもしれない。しっかりとしたストーリー、良キャラデザで安定した作画、はまり役揃いのキャスト陣…どこを見てもレベルが高いと感じる。かおす先生を始めとするキャラクターたちの人間性、成長、マンガ家としてのあり方がよく描かれており、心に響くエピソードが多い。キャラクターの魅力を最大限に描けるというきららアニメの良さも、各々の課題や悩み、葛藤を乗り越えていこうとするクリエイターストーリーものとしての良さも存分に発揮していた。声優は本当にはまり役揃いで、特にアニメ初主演の赤尾ひかるさんによる演技でのかおす先生の表現はほぼ完璧だったといっていいと思う。声優の演技の良さとアニメの出来は比例しないとは言われるが、こみがに関しては声優の演技によってアニメ自体の魅力もぐんと上がっていた印象。
 
 素直にレベルが高い。出落ちと勢いの作品かと思わせておいて、かなり練られている感じのあるアニメ。「ゾンビがアイドルをやる」という設定も、ただ話題作りや面白さのためだけにあるわけではなく、ストーリーの中で存分に活かされるようになっており思わず膝を打った。一方で、何をするにしても「普通じゃない」ことをしてきており、「良いエピソード」が出てきても純粋に感動するというよりは、笑いや驚きと感動を同時に味わうという不思議な視聴体験ができるアニメでもあった。その上で、ギャグはギャグとしてノリと勢いを大事にしており、「CV宮野真守」も最大限に活かし、「笑えるアニメ」としてのレベルも高かった印象。アイドルアニメとしてはなによりも重要なファクターである音楽についても、王道のアイドルポップからラップ、テクノボイス、はたまたCMソングまで歌うという幅の広さを見せつけており、この点に関しても満足度は非常に高い。製作陣渾身の一作といえると思う。
 
【ここで余談】
実はここまでの上位4作品、すべてに出演している声優がいますよね…。そう、宇宙よりも遠い場所の玉木リン、刀使ノ巫女の衛藤可奈美、こみっくがーるずの恋塚小夢、ゾンビランドサガの源さくらを演じている本渡楓さんですよ!「2018年は本渡楓の年だった」と度々言っているのですが、個人的に良かったと思っている、つまりそのくらい印象に残ったアニメにこれだけ出演されているのですから、もうMVPみたいなものなんですよね。自分でも今回の10選を選出するにあたっては「良かったと思うものから順番に入れていくとこんな感じかな」と、それなりに各作品のことを考えた結果としてこの順番にしたわけですが、見事に本渡さんが出演しているアニメが上4つで並びました。それほど昨年の自分にとって本渡さんの存在は大きかったということですね。「よりもい」のところでフィクションを見るのは心を動かすためである的なことを言っていますが、つまり2018年僕は本渡さんにめっちゃ心動かされたわけです(笑)。改めてお礼が言いたいです。ありがとうございます(まあ、ここで言っても本人には届きませんけど)。2019年も本渡楓さんの活躍には期待しています。
(余談おしまい)
 

 「良いアニメ」という形容の仕方がすごくしっくりくる。キャンプシーンの魅せ方が非常に良かったというか、ありのまま感が出ていたように思う。物語全体として必要以上の味付けはされておらず、その分描写の焦点がきっちりとキャンプという部分に定まっていた印象。メインキャラクターは5人いたが、5人で1つの集団というような感じはなく、しまりんがソロでキャンプする描写が多いように各々が好きに行動する様子を描いていたのがきらら作品としては新鮮に感じた。一方で、なでしことの出会いから徐々に心境を変化させていくしまりんの様子も丁寧に描かれており、きららアニメ的なキャラクター描写、キャラの関係性の魅力も存分に楽しめたのは良かった。アニメの続きの原作では、僕の地元のキャンプ場が出てくるらしいので、制作が決定している2期や劇場版で描かれるのにも大いに期待したい。

 

 春のダークホース的アニメ(ウマだけに)。放送開始前はソシャゲ宣伝のイロモノ枠かと思っていたが、実際に出てきたものは超王道のスポ根競馬擬人化アニメだった。競馬を知らなくても十分に楽しめる話の作りであり、感動要素は強い。一方で、実際の競馬の史実をなぞったストーリーにもなっており、そういった点は往年の競馬ファンからも一定の評価を得ていると言われている。王道のスポ根ものの基本構造をしっかり押さえた作品であるとも言うことができ、勝利の描写から得られるカタルシスは大きい。トレーナーがアツい男なのも良い。それとさすがにCygames肝いりの作品なだけ合ってどのウマ娘のキャラデザもかわいい。百合的な描写もそれなりに多く、個人的に満足できる要素が多かった。あとはソシャゲのリリースが延期されなければ完璧だったのだが……。
 
 見ていて「楽しい!」という感情がまっさきに浮かんできたアニメ。上野の街とカラーズの3人の関係性の描き方がすごく良かったと思う。小学生にとっては身近な上野の街の中でもきっといろいろな発見がある。「なにかを発見する」というのはやっぱり楽しいことであるといえる。そうした楽しさをアニメ(原作:漫画)の中に詰め込んだのがこの作品。サブキャラクターやモブキャラクターが生き生きとしているのも魅力的。きっとカラーズの3人が活力を振りまいているのだと思う。そういう意味では、確かに「上野の平和を守っている」といえるのか……!視聴者である自分自身もカラーズから活力をもらっていた…気がする。そういえば同一原作者の別作品が今度アニメ化されるらしい。そっちも期待。
 
  • プラネット・ウィズ
 とても面白かった。王道なストーリーの中にテーマ性、メッセージ性を強く持たせており、作品として非常に見応えがあった。作中では「正義」について語られていたが、誰の正義も絶対的に正しいというようなことはなく、しかしながら否定されるようなものでもないということを物語全体を通して伝えており、そのことが作品自体の魅力を多層化させていたように思う。キャラクター描写も良く、前述のような作品のスタンスも相まって各キャラクターの考え方にも深みが出ていた。「誰も間違っていない」という作品のスタンスなので、いわゆる勧善懲悪的なカタルシスは得られないかもしれないが、逆に言えば勧善懲悪に頼らないカタルシスは強いということ。1クールの中で作品テーマを完遂させた点は見事としか言いようがない。
 
  • 色づく世界の明日から
 終盤にかけて面白さが一気に加速したアニメ。序盤から中盤での描写の積み上げが見事に生かされていた印象。「色づく世界」とは、瞳美の世界に色が戻ることだけでなく、各キャラクターにとって見えてなかったものが見えるようになることも表していると感じた。琥珀が孫の瞳美を2018年の長崎に送ったことによって皆それぞれ少しずつ変わっていくのだが、その時にそれまでしてこなかった考え方をするようになるのは言い換えればその人の世界が色づいているということである。あるいは瞳美自身も感情という「色」を取り戻していっているようにも見える。これらがアニメーションとしては繊細な色づかいによって描かれており、キャラクターの細かい心の動きを感じられる作品になっていたといえる。
 
  • となりの吸血鬼さん
 日常系の王道を往く作品。人間と吸血鬼は決して同じにはなれないが、それでも心の距離は縮められるのであり、そうしたずれている部分と近づき合える部分両方を描いているのが本作の魅力。ただ流れていく時間を過ごす様子を描くような作品だからこそ、どういった点で人間と吸血鬼では違うのかがわかるし、そうした違いを乗り越えて通じ合っている灯とソフィー、あるいはひなたやエリーたちの関係性の尊さが増してくる。また、キャラクターごとに個性がはっきりしている点も本作の良さであって、そのことは「違っていても通じ合える」という本作のテーマをより引き立たせている。似たようなテーマを持っている作品としては「きんいろモザイク」「小林さんちのメイドラゴン」などがあるがどれも名作である。
 
 
以上10作品が私的2018年アニメ作品10選です。前回(2017年)ならゆるキャンウマ娘あたりの評価でトップを取れていたので、いかに18年が自分にとって豊作だったのか実感します。2019年も良いアニメとたくさん出会える年になりますように…。それでは、また。